ここでは日本人がどのような資産を保有しているのか確認を行う。
加えて、米国・ユーロエリアとも金融資産構成について比較し、各国の資産運用の考え方について検討してみる。
日本人の金融資産構成について
図は年間収入5分位階級ごと比較した金融資産構成について表しています。
年間収入5分位階級とは、年間収入を低い方から高い方へ順番に並べて5等分したものを示し、低い方から順に第Ⅰ階級、第Ⅱ階級、第Ⅲ階級、第Ⅳ階級、第Ⅴ階級となっている。
定期性貯蓄金:預け入れ期間が設定されている現金(積立定期預金・積立貯金)
有価証券:株式・債券など
通貨性貯蓄金・定期性貯蓄金は安全資産と呼ばれ金利も低いことから、長期保有による資産の成長は期待できない。
有価証券は成長資産と呼ばれ年利も高いことから、長期保有による資産の成長が期待できる。
日本人の平均の大枠を確認すると、64%の現金・21%の生命保険・14%の有価証券を保有していることがわかる。
この値からも日本人の現金主義が伺えます。
特に第Ⅰ・Ⅱ階級の方の現金保有率が高いことから、年間収入の低い人ほど現金を保有していることがわかります。
有価証券の保有率は第Ⅰ階級の方を除いて、総じて平均的な値を示していました。
平均的な値を示していることから、このような方々は自ら株や債券を保有しているのではなく、勤め先企業の株を保有(持株)を保有しているのではないかと推測できます。
米国・ユーロエリアとの金融資産構成の違い
次に日本と米国、ユーロエリアの金融資産構成の違いを確認してみる。
図は日本銀行統計局が記載している2018年のデータである。
出典:日本銀行調査統計局「資金循環の日米比較」
上記でも説明したが、日本人は現金主義の方が多く、安定資産を52.5%、成長資産を16.2%保有している。
これに対して米国は現金比率が非常に低く、安定資産を13.1%、成長資産を53.9%保有している。
つまり、日本と米国では安定資産と成長資産の比率が全く逆となっていた。
ユーロエリアは日本と米国の平均をとったような構成比率となっており、安定資産を33%、成長資産を31.3%保有していた。
昔の日本であれば銀行の金利が高く銀行に預けているだけでよかったが、金利がほとんどない現在においては、資産の最大化を目指すのであれば、安定資産を保有するのではなく、多少のリスクはあるものの成長資産を保有することが大切である。
記事の総括
日本人の金融資産構成を確認すると、安定資産である現金を保有している人が多く、現金比率も50%以上となっていた。
それに対し米国は、安定資産を13.1%、成長資産を53.9%保有しており、今後成長が期待できる資産を多く保有していた。
資産構成率の違いは国の情勢等により左右されるところはあるが、平均だから安心するのではなく、米国の動向なども確認し検討する必要があります。
何よりも大切なお金を増やすためには世の中の情勢に常に耳を傾けるのが大切です。